常陸大櫛岡の大人足跡
どんな伝承か
大人の足跡という口碑は、すでに奈良朝期の常陸風土記大櫛岡の条にもある。巨人が丘壟の上に腰かけて、大海の蛤を採って食べたといい、その足跡の長さは四十余歩、広さは二十余歩とある。播磨風土記の多可郡の条にも、巨人が南海から北海へ歩んだと伝えて、その越える迹処が数々の沼を成したと記してある。そこで、前代の信仰に別に大人と名づけた巨大の霊物があり、誤ってその名を山人に付与したのではないかという問題になると論じられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。