米人飛行家の宙返り妙技
どんな伝承か
我が国の航空界がまだ幼稚だった頃、青山練兵場や代々木原では日野・徳川の両大尉が飛行の技量を大衆に見せていたが、それも何メートル滑走したという程度で観衆も記者も拍手を送っていたという。そのよたよた飛行の時代、大正四年末に彗星のように現れたアメリカ人ナイルスが、当時としては破天荒な横転逆転の宙返り飛行をこの練兵場で演じ、東京人の肝を転がり返らせた。その後に来朝した夜間曲芸飛行のアート・スミスが電飾機を躍らせたのもこの原だったと記されている。両者の超人的な妙技に驚嘆した東京人は「空飛ぶ飛行機は、ナイルス、スミス」と歌い、その名は俗謡にまで謳われた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・昭和初期(1920年代~1930年代))