減らない米びつと逆さにした嫁
どんな伝承か
今井の渡し守をしていた婆さんから聞いた話として語られる。婆さんが一人で留守番していると坊さんが来て、何か恵んでくれと言った。米びつには一升ほどしかなかったが、明日の朝の米だがと言って与えると、坊さんは米びつに何かを唱え、帰り際に、新しく搗いた米を入れたら決して逆さにするなと言い残した。翌日から米はいくら食べても減らず、家中で大師様に違いないと不思議がった。ところが嫁が人のいない間に逆さにしてしまい、それきり米は出なくなったという。
原典より
8 そばやチリンチリンの話〔笑話〕9 印内の重右衛門① 給金決定後② 一背畑 (1)〜(2)③ 田の草取り (1)〜(2)④ 屋根葺仕事⑤ 餅は遠火で⑥ 菜種三どの話—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。