たぐりきれない早さで縄をなう名人
どんな伝承か
農家で印内のじゅえむを使い、毎日毎日「縄をなえ」と言いつけた。ところが藁を打って柔らかくしている様子はあるが、縄をなっている気配がない。旦那が「お前、縄はなえたか」と尋ねると、「なえました。なったけれど束ねていないから、旦那、丸めてくれますか」と言う。物置の倉の二階、天井裏で作業していて、なっていないことは旦那も承知だった。それでも手繰ってみると、今その場で上でなっている。下では手繰りきれないほどで、仕事にかけては名人だったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。