カラスの居場所までよその田も耕す
どんな伝承か
重右衛門が初めて奉公に来たとき、どこが家の田かと尋ねたので、旦那は「ここから、あそこに烏がいるだろうが、あそこまでが家の田んぼだよ」と教えた。ところが耕い始めると烏が先へ飛んで行くので、重右衛門は自分の持てる幅だけをどこまでも耕い続け、印内の下からホウメ下まで一束ずつ耕っていった。旦那が「よその家の田んぼも耕ってるじゃないか」と言うと、「烏のいる所までと言われた。烏はどこまでも行った」と答えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。