市の甘酒売りと足袋屋の地口
どんな伝承か
市は浅草だけではなく、松戸の市にも行った。その市が栄えたところに甘酒売りがいて、その傍らに犬がいた。買いに来た人が犬の尻尾を踏んづけたので犬がワンワンと鳴くと、甘酒売りが「腕がないから茶椀で飲めや」と言った。もう一つ、市に足袋屋が出ていたとき、今度は狐の尻尾を踏んづけた。昔はこのあたりにも狐がいたのである。狐がコンコンと鳴くと「紺がないから浅葱にしなよ」と言ったという。地口の落とし話である。
原典より
☆ 昔話「いんねのじいむ」についてIV 唄〔わらべ唄〕1 数え唄① 一つとや② 一番はじめは (1)〜(2)③ いちじく にんじん④ ひとりきなふたりきな—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。