震災後の安国寺周辺に出た火の玉と狐
どんな伝承か
大正十二年の震災の後の話である。当時の安国寺の周りは一面の竹やぶで、狐が鶏を狙って来るため鶏小屋を家の中に入れていたが、それでも取られることがあった。狐は温かいうちは食べず、獲った鳥を土に埋めておいて忘れるらしく、語り手は土の中に埋まった鶏を見たことがあるという。裏の家の人が七輪を提げて風呂に入りに来て、帰りに火種を持って帰る途中で火の玉が出た。狐がすぐ前にいて口から泡を出し、それが火の玉に見えたのだと語られている。
原典より
大正十二年の震災後のことですよ。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。