石橋に寝そべる牛と消えた折詰
どんな伝承か
行徳には明治の初年ごろまで狸や狐が住みついていたという。ある時、祖父が結婚式の帰りに遅くなり、稲荷木の辺りを一人で歩いていると、小さな石橋の上に大きな牛が横になって寝ていた。追い払おうとしても起きないので、土産の折詰を道端に置いて石を投げつけたところ、牛はようやくのそのそと歩き出した。ところが渡ろうとすると、置いたはずの折詰が消えていた。特に食べ物を持っていると化かされたものだという。
原典より
むかしは、行徳には、明治の初年頃、狸や狐が住みついていました。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。