ナス、キュウリのいわれ
どんな伝承か
行徳で盆にナスとキュウリを刻んで蓮の葉に載せる理由として、目連尊者の話が語られる。立派な僧であった目連尊者の母は、我が子さえよければと人に施しをしなかった。母の死後、尊者が神通力で下界を見ると、母は成仏できずに痩せ衰えており、水も食べ物も口元へ持っていくとしなびてしまう。母を成仏させるには何百人何千人という人に施しをして供養してもらうほかないと分かった。それだけの人数に配る器がないので、蓮の葉に刻んだナスとキュウリを載せて供養の礼としたのが始まりだという。我が子ばかりにとらわれてはいけないという戒めである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。