⑦ 東京へ野菜出荷した話
どんな伝承か
若い頃は東京まで野菜を出しに行った。馬力がなければ手車である。夜十二時に起きて飯を食い、根本の置き場から荷を引き出して両国へ向かうと、着くのはおよそ三時。両国橋から浜町まで運び、市場は夜明けに始まった。それからまた歩いて帰る。草鞋履きで足袋もなく、荷は主に葱と大根だった。下肥はみな東京から舟で市川の根本に着くので、そこへ担ぎに行った。坂もあり、じゅん菜池の方も歩きだったという。
原典より
ああ、若い時はね、東京まで野菜出しに行きましたよ。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。