① 塩作りの話 1 三夜さま
どんな伝承か
行徳で塩場をやっていた頃の年中行事、三夜さまの話。いわれは知らないが、たしか一月二十三日で、正月の鏡餅を欠いたかけらを三つ焼いて神棚に上げた。上げるのはたいてい女ではなく男だった。その日は旦那が皆に御馳走をふるまい、若い衆を使っていた家では無礼講で歌を歌ったり、めいめいの隠し芸をしたりした。夜明かしはせず十時頃まで、十二時までいれば長いほうだった。正月は日が短く塩の付きも悪い時期で、三夜さまは二十三日と決まっていて月とは関係なかったろうと語り手は言う。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。