鹹水の取り方(笊取り法)
どんな伝承か
行徳の塩田で鹹水を取る笊取り法の手順を古老が語る。約七反の塩田二枚を五人ほどで扱い、塩場鍬で砂を撒いて払い竹でならし、夕方に寄せ板で寄せる。翌日その砂を干し板で散布し、午後に集めて桶の上に竹の簀と塩場笊を載せ、砂を入れて手でくぼみを作る(口取り)。釣瓶で海水を注ぎ、草で編んだ「スマシ」で濁らないようにし、笊を傾けて砂を戻す。桶に溜まった鹹水は担い桶で小山の上の「ため台」に運び、竹樋で地中を通してかま屋のそばの「塩舟」に集める。塩舟は海の粘土を固めた溜めで、そこから撥ね釣瓶で釜屋へ送り、長柄の柄杓で釜に注いで煮詰めた。夏は鹹水が濃く塩場笊五杯ほど上がるが、冬は三杯ほどしか取れなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。