③ 朝鮮飴売り
どんな伝承か
昔、新田(現在の本塩)に朝鮮人の飴売りがいた。二里ほど先の野方の方から馬で流れて来たのだという。日本名を新ちゃんといい、色の白いなかなかの男前だった。箱を前に吊り下げ、とんかちと鉋で拍子を取りながら、「へちょんまくら、ちょんまくら」と、朝鮮語のように聞こえる文句を唄って歩いた。朝鮮の飴は胡麻が入って延べた形をしており、それを鉋ととんかちで切りながら売った。三年ほどいて、その後どこへ行ったか分からないという。
原典より
むかし新田(現本塩)に、朝鮮人の飴やがいたっけね。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。