西春法師の魂が昇った布良星
どんな伝承か
西春法師は安房郡白浜町青木の出身で、十六歳ごろまで漁業にたずさわった。その頃から空中を飛んだり海上を歩いたりして仲間の漁師を驚かせたという。十九歳で仏門に入り諸国を修行し、二十八歳で房州へ帰って白浜町横渚の本橋与惣左衛門の家に泊まり、村人に仏の道を説いた。千日の木食行の後、あらかじめ土中に作らせた石室に入り、鉦の音がやんで三年後に掘り出せと言い残して座禅のまま死んだ。村人が塚を掘るのを恐れたため、法師の魂は天に昇って星となったと伝える。冬に布良(館山市)の沖に見えるその星は布良星と呼ばれ、漁師はこれが見えると海が荒れるという。
原典より
西春法師は現在の安房郡白浜町青木の出身で、十六歳ごろまでは漁業にたずさわっていた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。