七年ぶりに帰った夫が会った宮木の亡霊
どんな伝承か
上田秋成が著した雨月物語巻之二の浅茅が宿は、市川市真間が主な舞台となっている。享徳のころ、真間に住む勝四郎は家を再興しようと染絹の商人として上京するが、その間に起きた戦乱で真間も戦場となった。留守をあずかる妻の宮木は夫の帰りを待ちこがれたが、勝四郎は戦乱と病弱のためすぐには帰れず、妻はもう生きていないだろうと近江の国で過ごす。七年ぶりに帰宅すると意外にも変わり果てた宮木と会えたが、翌朝目をさますと姿はなく、辺りを探すと墓があった。昔から真間に住む漆間の翁に聞くと、宮木は五年前に夫を待ちながら死んだということであった。
原典より
江戸時代後期の作家である上田秋成が著した、雨月物語の巻之二にある浅茅が宿の話は、市川の真間が主な舞台となっている。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。