地蔵尊に祈って消えたワラビの渋
どんな伝承か
佐倉市天辺には、渋のないワラビにまつわる伝説がある。昔、一人の僧が尼寺を訪ねて宿を求めた。泊めはしたものの食べさせる物がなかったので、尼はワラビ餅を出した。僧がたいそう喜んで食べてくれたので、尼は日ごろからワラビに渋が多くて困っていると、つい嘆いた。旅の僧は尼に同情し、持ってきた地蔵尊を取り出して拝み、この地蔵尊に祈れば渋はなくなると言って去っていった。言われたとおり祈ると渋は消え、そのことが殿様の耳にまで届いた。ワラビを献上すると殿様はたいそう喜び、弘法山遍照寺宝寿院の名を授け、寺はその後栄えたと伝える。
原典より
佐倉市天辺に渋なしワラビの伝説がある。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。