父にだけ酒になった子和清水
どんな伝承か
松戸市の常盤平団地に、子和清水と呼ばれる泉がある。松戸市文化財委員の上野顕義氏によれば、昔この辺りに酒好きの老人がいて、出かけるたびに酔って帰ってきた。不思議に思った息子がある日、父のあとをつけてみると、父は清水を飲んで良い酒だと喜んでいた。ところが息子が同じ水を飲んでも、ただの清水にすぎなかった。この話が村人の間に広まって「親は古酒、子は清水」と言われるようになり、やがて「子は清水」と呼ばれて土地の名の起こりにもなったという。
原典より
符号的な地名はたしか合理的だが、風土の歴史を無視した結果でいただけない。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。