すり鉢で伏せて放つ鷹狩りのウズラ
どんな伝承か
三代将軍徳川家光は、戸山町から穴八幡、戸塚のあたりへたびたび鷹狩りに出かけた。日取りが決まると役人から村へ前もって知らせが入る。すると近在の農家は、かねて飼っておいたウズラをすり鉢で伏せておき、将軍の姿が見えたと分かると、いっせいに鉢を持ち上げて鳥を放したという。家光は獲物がないと機嫌を損ねて周囲へ当たり散らすので、付き従う役人にはこうするよりほかに手がなかったのだと伝わる。当番に当たった村の百姓にとっては、迷惑この上ない務めであったろう。
原典より
時代 江戸時代 家光将軍(一六二三一五一)のころ徳川三代将軍家光は、戸山町、穴八幡、戸塚一帯へ、たびたび鷹狩りに出かけた。—— 新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年))
『新宿と伝説』は、新宿区教育委員会が昭和四十四年に編んだ区内の伝説集である。カッパが出る坂、四谷怪談のお岩、矢来町の化け石、女幽霊が掘った清水など、牛込・四谷・戸塚大久保・新宿・淀橋柏木落合の各地に伝わる六十二の伝説を、江戸の地誌や随筆などから採って収める。第一章で伝説の分布と型を概説し、第二章では地域別に、各話へ場所・時代・出典・解説・参考書を添える。