膝まで泥にまみれた田植え地蔵
どんな伝承か
猫の手も借りたい田植えの季節になると、このあたりへどこからともなく旅の僧が現れ、黙々と田植えを手伝ってくれた。村人が礼を尽くそうとすると、いつのまにか姿を消してしまう。不思議に思ったある日、見え隠れに後をつけていくと、僧は地蔵堂の中へ入っていった。近寄って覗くと、地蔵の膝から下が泥まみれになっていたという。それ以来この地蔵は田植え地蔵と呼ばれるようになった。もとは戸塚町の土屋家の下屋敷で井戸替えをした際に出た地蔵で、玄国寺の境内に堂を建てて納めたものだと伝わる。
原典より
時代 江戸時代(年代不詳)猫の手も借りたい田植え時になると、このあたりにどこからともなく、旅僧が現われて田植えを黙々と手伝ってくれた。—— 新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年))
『新宿と伝説』は、新宿区教育委員会が昭和四十四年に編んだ区内の伝説集である。カッパが出る坂、四谷怪談のお岩、矢来町の化け石、女幽霊が掘った清水など、牛込・四谷・戸塚大久保・新宿・淀橋柏木落合の各地に伝わる六十二の伝説を、江戸の地誌や随筆などから採って収める。第一章で伝説の分布と型を概説し、第二章では地域別に、各話へ場所・時代・出典・解説・参考書を添える。