阿蘇沼の鴛鴦
どんな伝承か
昔のことであるという。この土地に住んでいた阿蘇某が、阿蘇の沼で一羽の鴛鴦の雄を射た。その夜の夢に一人の女が現れ、悲しげに「日くればさてひしものを阿蘇の沼のまこも隠れのひとり寝ぞ憂き」と詠むのを見て目が覚めた。翌朝、沼へ行ってみると鴛鴦の雌が悲しげに浮かんでいる。そこで弓をもって雌を射たところ、雌は雄の首をしっかと抱いていたという。某は改めて哀れを催し、そのために一寺を建立して鴛鴦寺と名づけたという。「佐倉風土記」は、里人の伝えはこの通りだが、「沙石集」はこれを下野国のこととして記していると述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・大正~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 下総の巻』を全179話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。