蟹殻掛
どんな伝承か
安房郡保田町大字吉浜では、門口に干した蟹の甲羅を掛けて悪鬼を避けるまじないとする風があった。「房総志料」「房総一覧志」にもその俗が記されている。「房総遊覧誌」は、干した蟹の鬼の面のようなものを門戸に掛けて邪鬼を避けるといい、これを島村蟹と呼ぶと伝える。一説には、保田の吉浜で獲れる蟹は甲羅が六、七寸、脚が長く、その形が鬼の面のようであるため、その甲羅を門に懸けて鬼を避けるのだという。「房総志料」は「五月記」を引いて、五月に邪を避けるため虎の形などを掲げる俗が中国にもあると述べ、これを古俗の一つに数えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・江戸~明治時代)
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 安房の巻』を全186話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。