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平砂浦で夜通し見た火柱

所在地千葉県館山市(平砂浦)
年代伝承
登場藤八、浦屋、体験者の漁夫(浦屋さん)
出典日本伝説叢書 安房の巻

どんな伝承か

漁夫の浦屋が若い頃、藤八という十五、六の少年を連れて外房の海へ小鮪釣りに出た。上総の天神山を船出し、洲崎を回って平沙浦へ差しかかった。この浦は暗礁が多く、晴れた日でも常に大きなうねりが寄せる、漁夫の恐れる場所である。二人はうたた寝のうちにそのうねりに乗せられ、舟ごと砂浜へ打ち上げられてしまう。人影のない二里余の浜で、満潮を待って一夜を明かすことにした。真夜中を過ぎ、眠れぬ浦屋がふと平沙浦の方へ目を移すと、砂原の真ん中に、球とも燭ともつかぬ真赤な火が立っていた。体は氷のように冷たくなり、震えて藤八を起こすこともできない。火は三尋の柱となって左右に揺れ、赤から次第に青く燃え、やがて四方八方から長い火が燃え出して近づいてくるように見えたという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))

『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。

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