沈められた踊る猫と猫渕
どんな伝承か
南会津郡田島町の長野向かいという所での話である。爺様と婆様が古い猫を大事に飼っていた。ある日、爺様が田島の芝居見物に出かけ、婆様と猫が留守番をしていると、猫が踊りをやって見せると言い出した。猫はどぶろくを出して婆様に飲ませ、踊り始めた。初めは面白かったが、あまりに上手なので婆様は気味が悪くなった。猫は内緒にしろと口止めしたが、婆様は恐ろしくて爺様に打ち明けた。爺様は猫をいじこに入れ、縄で縛って石とともに川へ沈めてしまった。そこは猫渕と呼ばれ、大水で流れが変わってもそこだけはいつも深かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。