孫の誕生で痩せた黒猫と死後のコトコト音
どんな伝承か
昭和六二年、孫が生まれ家族総出で世話をするようになると、それまで可愛がっていた大きな黒猫の様子が一変した。家族に見向きもせず、大好物の餌も食べずに痩せ細っていったという。娘が赤ん坊を連れて別居先へ移った後も、語り手が娘のもとへ通うたび猫は先回りしてうらめしげに見送り、やがて重い病気にかかり動物病院に入院、孫の誕生から一か月ほどで死んでしまった。死後、生前と同じコトコトという音が屋根の方から聞こえ、夫婦そろって耳にしたという。杉並区高円寺の話者・矢沢律子が語り、原田弘が書き留めた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。