姥捨て山の石碑に写った老女
どんな伝承か
民話採訪に出かけた道筋に雑貨屋があり、小川の土手には苔むして字も読めない一メートルたらずの石碑と、抱えられるほどのくぼんだ石が置かれていた。同行者が写真に撮ると、六〇歳ぐらいの老女とそのひざもとに白い蛇が写っていた。石碑の中にきちんと座った姿で見えるといい、例会で見せるとたいていの人が見えると答えた。後で聞くと、石碑は隣接する村田町菅生に大きなレジャー施設ができた際、姥捨て山と呼ばれた山を整地して移したものの一つで、そばのくぼんだ石は姥の手掛け石と呼ばれていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。