誕生記念の杉に負けて病んだ娘
どんな伝承か
大正の頃、柴田郡村田町で女の初児が生まれ、その記念に、杉のようにまっすぐ丈夫に育つようにとの願いを込めて、屋敷の中へ杉苗が一本植えられた。ところが願いに反して娘は体が弱かった。戦時中には国の命令で静岡の織物工場へ連れて行かれ、そこで病を得てしまう。本家が古い密教宗の寺だったので拝んでもらうと、杉の勢いに負けているのでどうにもならない、杉を伐れば病は治るだろうと言われた。すぐに杉は伐られたが、娘は間もなく死んでしまった。子の成長を願って木を植えるのも良し悪しだ、というのが、亡くなった娘の母から聞いた話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。