法事の写真に写った祖父母と子
どんな伝承か
楢山の南通りにあるS家は昔からの家で、信心深い者ばかりが暮らしている。屋敷には稲荷か何かの碑があり、毎日祈りを欠かさないという。その家で先祖供養の法事があり、遠方にいる者にも帰ってもらって、二十人ほどが寺に集まった。最後に仏壇の前へ並んで写真を撮ってくれと頼まれたので撮影し、早いほうがよかろうと焼き上がった写真を届けた。数日後、S氏から、君は霊を持っているのではないかと問われ、驚いて尋ねると、この写真には祖父母と亡くなった子供二人の四人が写っていると言われた。引き伸ばしてみたが、撮った本人には何も見えなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。