蝙蝠傘を囃されて斬首された砲兵
どんな伝承か
明治元年のこと。一人の砲兵が異国渡りの傘をさして神田筋を通った。雨が降っていたわけではなく、見せびらかすために広げて歩いたのである。これを見つけた町人たちが、異人が通る異人が通ると囃し立てて嘲笑った。腹を立てた砲兵は蝙蝠傘の先で、悪口を言った町人の横面を少しばかり突き破ってしまう。町人が溝口家の屯所へ駆け込んで訴え出ると、溝口の者はただちに砲兵を捕らえて首をはね、一両日のあいだ晒したという。
原典より
回答者・中村博(東京都在住)。—— 現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。