同棲先の枕元に立った父の姿
どんな伝承か
家出同然に彼と横浜で同棲して四ヵ月ほどたったころ。夜中に頭をたたかれているような感じで目が覚めると、ぼうっとした光の中に父が立ち、悲しそうな声で私を呼んでいた。驚いて彼を起こしても何も見えないという。翌日母に電話しても父に変わったことはなかったが、異変はこちら側に起きた。その日の夕方、いつものようにバイクで買い物へ行く途中に対向車と正面衝突して首を痛め、直後には彼も追突事故で賠償金を取られた。私の腰にも原因不明のしこりができて手術をするなど不運が続き、結局同棲を解消して家に帰った。父が夢枕に立ったのはその知らせだったのだと思う。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。