父が夢枕に立った未明の知らせ
どんな伝承か
大正九年八月四日の未明、まだ薄暗いころのことである。語り手は小学三年で、蚊帳の中で眠っていたところを、隣に寝ていた母に揺り起こされた。母は、いま父が夢枕に立って、おひなを早く来てくれと言って消えた、すぐ行くからお前も一緒に来なさい、と告げた。北里病院に着いたときにはあたりが明るくなっており、たったいま亡くなったと知らされた。父の枕元で声を上げて泣いたのを覚えているという。母はそれ以来、夢の知らせは本当にあるのだと繰り返した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。