墓を守れと枕元に立った白髪の老婆
どんな伝承か
昭和のころの話である。板橋区舟渡一丁目、新河岸川の近くに樺沢さん一家が住むようになった。ある夜、樺沢家の祖母の枕元に白髪の老婆が現れ、行儀よく座って、自分は新井家の先祖の者だが、墓は守る人もなく前の荒地に忘れられている、近くに住むご縁でどうか守ってほしい、と深く頭を下げてすっと消えた。同じことが二晩三晩と続くので家の者が近辺を探すと、いくらも離れていない笹やぶの中に板碑が数枚埋もれていた。樺沢家は屋敷の庭先に丁重に祀り、のちに麻疹の守り仏として詣でる人を集めたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。