墓を守れと枕元に立った白髪の老婆
どんな伝承か
昭和のころの話である。板橋区舟渡一丁目、新河岸川の近くに樺沢さん一家が住むようになった。ある夜、樺沢家の祖母の枕元に白髪の老婆が現れ、行儀よく座って、自分は新井家の先祖の者だが、墓は守る人もなく前の荒地に忘れられている、近くに住むご縁でどうか守ってほしい、と深く頭を下げてすっと消えた。同じことが二晩三晩と続くので家の者が近辺を探すと、いくらも離れていない笹やぶの中に板碑が数枚埋もれていた。樺沢家は屋敷の庭先に丁重に祀り、のちに麻疹の守り仏として詣でる人を集めたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。