仏にされず夢枕に立った道楽者
どんな伝承か
祖父の兄に滝トンジという人があった。長男で財産を譲り受け、他人の土地を踏まずに向かいの山の神社まで参れるほどの土地持ちであったが、女と遊び、芸者と逃げて能代で暮らした。金の切れ目が縁の切れ目で、財産を失うと女に逃げられて帰ってきたが、途中の十二所で行き倒れ、兄が背負って帰ったものの死んだ。財産を失くした道楽者だと憎まれ、拝むまいと仏にされなかった。戦後、嫁に来たばかりの母の夢枕に色白のいい男が立ち、この家の者だが仏にされていないから浮かばれない、何とかしてくれと言った。朝それを話すと皆が驚き、死んだトンジに違いないというので、そこで初めて戒名をつけて祀ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。