死の前夜に母が見た猫タロの夢
どんな伝承か
我が家では九年間、タロというシャム猫の雄を飼っていた。呼べば返事をし、外から帰ると玄関先でウェーと鳴いて挨拶するかのようだった。夜は人が寝るのを待ちきれず、先に二階のベッドへもぐりこんで寝ていた。去年の九月二十五日に死んだのだが、死ぬ前の晩、母はおかっぱ頭のかわいい女の子をおんぶして「死んだけどまた生き返った」と近所の人に言っている夢を見たという。タロは床の間の背の高いこけしのわきで昼寝をするのが好きで、こけしに身をかえたとも考えられる。その頃、私は仙台にいたが、前の晩、急にタロの写真を飾らなくてはという気になり、机に飾った。夢にもタロが出てきて一緒に遊んだ。タロは次の日の朝十時頃に死んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。