切り口をつなぎ直された栃ノ木と杣衆七人
どんな伝承か
明治中頃の話。紀州高野山の下、竜神村の有合谷ばたに、それはそれは大きい栃ノ木があった。あるとき七人の杣人が山小屋に泊まり込み、木がいたむというので大ヨキで伐りにかかった。七人がかりで一日に三分の一を伐って小屋へ帰り、翌朝行ってみると切り口が無い。三日伐っても元のようになっている。夜中にそっと覗くと、坊主頭の者が二、三人で木端を拾い集めて元の様につけ直していた。七日目、杣衆は伐ったコッパを皆焼いてしまった。里の者が小屋へ行くと、七人は木のマクラを顔に乗せて死んでいた。十二、三歳の飯炊きの子だけは、木を伐らず般若心経を唱えたので助けられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)