箒桜を伐り落ちた幹の下敷きで即死
どんな伝承か
土佐郡鏡村吉原に伝わる話である。樹齢六、七十年、直径五十センチほどの桜の古木があり、根元から出た小生えの先が、竹箒を逆さに立てたような形になっていた。この地方ではそうした木を箒桜と呼び、伐ることを昔から忌んできた。ある人がこの木を伐ったところ、倒れた幹が何かのはずみで地面から一メートルほど浮いた。そこへ鋸を入れて九分九厘まで挽いたが、いつもなら落ちるはずの幹がどうしても落ちない。向こう側が切れていないのかと確かめるつもりで頭を差し入れた瞬間、幹はずしんと地に落ち、その人は下敷きになって即死した。後になって村の人々は、あれはてっきり箒桜の祟りだと噂し合ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)