矢のように走るノヅチ
どんな伝承か
明治の一数年頃、道志の山にノヅチというものが棲んでいたという。胴体は五升樽ぐらいの太さがあり、頭と尾で転がるように地上を打って、矢のような早さで目前を走り抜けてゆく。ちょうど藁打ちに使う木槌の型に似ているので、こんな呼び名をつけたのである。村民はノヅチを百獣の王と怖れ、警戒の眼を一時たりとも緩めることができなかった。動物図鑑に載っているような、なまやさしい野獣ではなかったのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)