買い手のつかない「蛇屋敷」の土地
どんな伝承か
久保町に蛇がうじゃうじゃいる土地があって、空襲より一四、五年前からいっこうに売れなかった。坊さんをたくさん呼んできて拝んでもらっても駄目で、今度は神主を呼んできたがこれも駄目だった。蛇のほうが人の言うことを聞く気はないというのだから仕方がない。大きいものから小さいものまで数が多かったので、みな「蛇屋敷」と呼んでいた。大阪の人が蛇をたたっ切ったところ、その人は大阪で電車にひかれて死んだという因縁もあって、誰が来ても駄目だった。空襲でそこらが焼けてしまい、やっとその土地は売れたが、それでも空地のままで、商売をやっても初めはよくても後がみな悪いという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。