眠る間に山の神の石段へ運ばれた男
どんな伝承か
第二次世界大戦中のある秋、語り手は上山田の奥へ栗拾いに出かけた。柴栗がたくさん落ちている場所があり、早起きして出たものの早すぎて、山の入口に着いても暗くて何も見えない。腰を下ろして明るくなるのを待つうちに眠ってしまい、目が覚めると夜は明けていて、自分は山奥にある山の神の石段の上に寝ていた。待っていた入口からは五百メートルも離れており、どうやってそこへ行ったのか分からない。眠っているあいだに山の神が運んでくれたのだと語り手はいまも信じ、山の神を信心し続けているという。
原典より
第二次世界大戦中のこったども、ある年の秋、オレが上山田の奥へクリ拾いに行った事があった。—— 村上市史 民俗編 下巻(村上市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村上市史 民俗編 下巻(村上市史)
『村上市史 民俗編 下巻』は、新潟県村上市の市史の民俗編から、口承の節(伝説・世間ばなし・謎とことわざ)を抜き出したものである。地名・神社・寺や仏・地蔵・水・人・動植物・塞の神・杖の跡に分けた伝説と、狐や河童、火の玉、山の神などの世間ばなしを、土地の言葉の語りのまま採集地を添えて収める。義経が跳び越えた一跳山、三面川の小助島、岩船の大火など、村上市内の土地に結びついた話が中心である。