醜さを恥じて山の神になったお里
どんな伝承か
隣村の浜新保では山の神をオサト様と呼び、女の神だという。お里という人が、自分ほど器量の悪い者を嫁にもらう人はいないと思い詰めて山に入り、山の神になったのだと伝わる。そのため山仕事で鉈や鎌や鋸が見えなくなったときは、男が自分の一物を大きくして草木に見えるよう振りながら山の神を呼べば、女である山の神が喜んで道具を出してくれるという。あるとき山の神にオコゼを供えた者があり、山の神は世の中には自分より醜い者もいるものだと大笑いして喜んだ。以来オコゼが捕れると山の神に供えるようになり、オコゼを山の神とも呼ぶという。
原典より
隣村の浜新保の衆は、山の神ことオサトサマというでのう、山の神サマはオナゴなんだとさ。—— 村上市史 民俗編 下巻(村上市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村上市史 民俗編 下巻(村上市史)
『村上市史 民俗編 下巻』は、新潟県村上市の市史の民俗編から、口承の節(伝説・世間ばなし・謎とことわざ)を抜き出したものである。地名・神社・寺や仏・地蔵・水・人・動植物・塞の神・杖の跡に分けた伝説と、狐や河童、火の玉、山の神などの世間ばなしを、土地の言葉の語りのまま採集地を添えて収める。義経が跳び越えた一跳山、三面川の小助島、岩船の大火など、村上市内の土地に結びついた話が中心である。