大火を止め初雪を告げる大銀杏
どんな伝承か
横迎町の中里定美の家には、樹齢数百年と見られる大銀杏がある。明治四十年四月、世之助火事と呼ばれる横迎町の大火のとき、火の手はこの銀杏のところで止まって鎮まった。火事のあと町の道は広げられたが、今も道幅が広いのは中里家の屋敷までである。中里家は先代まで神職で、銀杏は昔から神木として崇められ、前には大きな石の鳥居も立っていた。毎年初雪の前日には一夜で葉を残らず落とすので、町の人はそれで初雪を知ったという。幹からは乳房のような大きなこぶがいくつも垂れ、乳の出ない女性が参ると豊かになると言われ、近在の人々の信仰を集めている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。