福良の山に出る勘次郎火
どんな伝承か
梅雨のころ、山の端で火の玉が現れて飛び回ることがあり、土地ではこれを勘次郎火と呼んで恐れた。昔、福良の町で五、六人が寄り合って網を仕立て、独り身の勘次郎という男を見張り番に雇った。勘次郎は山の上に小屋を建てて番をし、網の持ち主たちは大いに喜んだが、網を持てない漁師たちは、この男さえいなければ見張りは立つまいと考えた。若者三人が勘次郎を絞め殺して死骸を海へ捨てると、その夜は大暴風雨になり、七日後に亡骸が浜へ流れ着いた。以来その場所から怪火が出るようになり、山を勘次郎端、網場を勘次郎網代と呼ぶようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化と幽霊 怪談揃ひ(大文館編輯部(編纂))
『お化と幽霊 怪談揃ひ』は、播州を中心に摂津・淡路・大阪・神戸の怪異を集めた怪談集である。神戸のチャブ屋に残された下女の片足の靴、明石の坊主橋に出る按摩の怨霊、西瓜に浮かぶ女の顔、淡路洲本の白壁物語、西宮のねてこが池の怪などを、地名と人名を挙げて講談調で語る。三十余りの話を並べ、天保や明治九年の出来事とする話のほか、寄せられた原稿によるとことわる話も含む。