友の死を告げる西へ抜ける風
どんな伝承か
南方熊楠の研究の整理を手伝い、最期も看取った長女の文枝は、後に父についてこう語っている。友人が亡くなるときには、夜中に風が玉になって西の方へさっと突き抜けていくのだという。父が「あいつが死んだぞ」と口にすると、決まってその人の死の知らせが届いた。仁科悟朗の『南方熊楠の生涯』に引かれた証言で、熊楠の霊的な体験は晩年になるほど増え、幼いころに別れた長姉や乳母の幽霊も現れるようになったとされる。
原典より
友達が亡くなる時は、夜中に風が玉になってサーッと西の方に突き抜けて行くんですって。—— あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。