こんにゃくをくわえた橋の女幽霊
どんな伝承か
天理市の稲葉と嘉幡の間にこんにゃく橋という石橋があり、夜更けに渡る者はいないという。昔、稲葉に孫兵衛という麴売りがいた。ある夜の帰り道にこの橋へさしかかると、口にこんにゃくをくわえた女の幽霊が現れた。孫兵衛は肝をつぶして懸命に念仏を唱え、九十九遍目にようやく幽霊は消えた。この幽霊は、こんにゃく一つのことで夫婦げんかをしたのがもとで死んだ稲葉の女の妄念が、橋のあたりに迷っているのだと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。