土手の穴から現れるお花
どんな伝承か
仙台の北六番丁、万日堂の東にある北へ割れた細小路は、六道に通じる道であった。その道の土手には穴があいており、ある時はそこに男が立って「仕度はまだか。お花、お花」と呼ぶことがあった。またある時は「アイ」と答えて、十五、六歳ほどの美しい女が花やかに着飾って穴のあたりから現れ、どこへともなく連れだって行くのを見た人も少なくなかった。夜更けに通ると、そこの塀笠の上にその美女が立って笑いかけ、胆をつぶして逃げ出した者もあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。