処女の腹から取り出された双子の片割れ
どんな伝承か
大正十四年ごろ、大分県別府市の野口病院に十五歳の少女が入院した。少女は処女であるのに腹がふくれ出し、高熱にも苦しんでいた。腹部を切開する手術をすると、奇妙な形の胎児が取り出された。同院の尾見薫博士によれば、少女自身が母の胎内にいたとき双子で、もう一方の胎児が少女の卵巣の中に入り込んだまま生まれ、その畸形の胎児が十五年もの間少女の腹の中に宿っていたのだという。手術の前は重態だったが、手術後の経過はよかったと伝えられる。筆者は、処女が子を宿したという謎は解けたが、その答えも前代未聞の奇怪なものだったと記している。
原典より
正に処女のお腹から胎児が出たのであるから奇怪である。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。