土蔵の窓に回る糸車
どんな伝承か
青笹村(遠野)字関口の菊池某という家の土蔵に、ザシキワラシが出た。窓ぎわに据えてあった糸車を、日に何度もくるくると回すのである。それがかなり長く続いた。当時この家は村の役場を兼ねていたので、多くの人がその様子を目にし、とりわけ春の馬検の日などは大勢が見たそうである。窓の内側には細い金網が張ってあり、そこからのぞくと、たいそう美しい細い手がちらちらと動き、それにつれて糸車が回っていたと伝えられる。佐々木喜善の採録による。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。