牡丹の灯籠を提げて通うお露の幽霊
どんな伝承か
江戸は根津の清水谷に田畑と貸長屋を持つ浪人者に、萩原新三郎という二十一歳の若者が住んでいた。町医者山本志丈に誘われて出かけた先で旗本飯島平左衛門の娘お露と出会うが、やがてお露は新三郎に恋い焦れて死に、女中のお米も後を追って死んだと聞かされる。盆の十三日の夜、カラコンカラコンと下駄を鳴らし、牡丹芍薬の花のついた灯籠を提げたお米とお露が訪ねて来た。以後毎夜通い、夜の明けぬうちに帰る。走り使いの伴蔵が覗くと、骨と皮ばかりで裾がなく腰から上ばかりの幽霊であった。新三郎が谷中三崎村を尋ねると、新幡随院の堂の後ろの新墓に、毎晩の牡丹灯籠が雨ざらしになっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・昭和中期(1977年頃))
ザシキワラシ(座敷童子)と福の神(怪談の世界)/遠野・東北の怪異伝承/家運の盛衰と怪音/妖怪と幽霊譚/山田野理夫の怪談採集