尾のつながった九匹の鼠
どんな伝承か
奥州南部の盛岡から二十里ほど入ったところが福岡である。そこに青木平助という男の屋敷があった。文政八年の二月のある夜、平助は屋敷内の天上の棟が炎に包まれる夢にうなされ、自分の声で目を覚ました。棟を見ると夢のとおり燃えていたので、梯子をかけて桶の水をかけると大事に至らず消えた。古屋敷で内は昼でも暗く焼け焦げは目立たぬので、平助は家人に黙っていた。翌朝、家人が朝食の膳に着くと、棟のあたりからどさりと落ちてきたものがあった。見ると大きな鼠で、しかも九匹が尾と尻をつなぎ合わせたまま、離れようとして座敷の内をぐるぐる回った。評判になって見物人が増えたが、その後の記録はなく、九匹ともひからびて死んだという。
原典より
二七番 白い毛・・・・・49竜昌寺由来………………………50蝶になった侍・・・・・・51螢化身.....51二八番二九番五番 石の話…………19一七番 ジョンガラ節・・・・・・37三〇番—— 東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。