浄瑠璃を語り祖母に化けた飼猫
どんな伝承か
久保田城下、いまの秋田の中沢文雄は猫を五匹も飼い、近所で死人が出ると猫を懐に入れて死人の口のそばへ連れていった。死人の息が移された猫は人語を解するようになったという。佐竹家の家臣寺井大八が江戸芝居を見物に出た留守、飼猫は妻女に浄瑠璃を語ってきかせ、後日小姓姿の男に化けて現れて妻女と契った。妻女が縁を切ると告げたその晩、妻女は咽を噛み切られて死に、飼猫は姿を消した。明治のはじめ、もと佐竹家の武道師範太田新左衛門は帰り道に数十匹の猫の群れを見た。頭は自分の飼猫で、通りかかった侍を襲わせたが、侍は達人で猫を斬った。屋敷では祖母が眉間の傷で臥せっており、斬ると猫の姿に戻った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承