小僧を大杉に上げた枕木山の天狗
どんな伝承か
松江の東北二里ほどにある枕木山は、推古天皇の時代の創建と伝わる華蔵寺という古刹のある霊山である。昔、山頂には天狗が住み、気に入らないことがあるとひどく暴れ、寺の小僧が馬場の高さ十四、五間の大杉のてっぺんへつかみ上げられて騒ぎになることがたびたびあった。そこで和尚が怒って天狗を封じ、隠岐国へ追いやったと寺の言い伝えに残っている。いつの時代のことかははっきりしないという。
原典より
寺の小僧が、馬場にある高さ十四五間の大杉の頂へ掴み上げられて騒ぎになることなどが屢々あつたので、和尙が怒つて、天狗を封じて、隠岐國へ追ひ遣つたことがあると云ふ寺の口碑が殘つて居る。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)
『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。